COVER REPORT

「STAY IN BED」


06 .04.28.


冷泉荘は色々な表現の場。


だから、当初から外壁などは「キャンバス」として活用することにしていた。


hekarという装置。
その装置を作ったスイス人とイギリス人のエンジニア×アーティスのユニットが、そのキャンバスの最初の書き手になった。
二つの頼りない滑車にぶら下がったスプレー缶がコンピューターで制御され、PC上のイラストを壁面に再現する。
つまり、技術とアートが癒合した、新たなアーティストの筆なわけだ。


書いているうちに内容が変更されていく、人の手の絵画ではなく、最初から

書く内容をPC上で確立させた上でデジタル制御のもと描かれる。
正確に、そして短時間で、再現する。
いよいよ筆さえもいらなくなり、その描いている時間の心の変化が作品の要素から無くなった。


かと、思ったら。
なんのことはない、結局人の手で作られた装置。
描くまでのスタンバイにたいそうな時間がかかり、装置が誤作動する度にアーティストは焦ったり困ったり。
人よりも聞き分けのない、頑固な装置で、書き始めるのに何回指示したことか。


直接的な人の手なのか、間接的な人の手なのか。
アナログとデジタルの違いは意外と小さいのかもしれない。

冷泉荘A11号室
TRAVEL FRONT/ no.d+a 代表
野田恒雄